着るものは用意していなかったので、助かったといえば嘘ではなかった。
あながち、お姉ちゃんが送ってくれたのかな?とも思う。
船の周りにはたくさんの人。
だんだんとみんな船の中に引き寄せられるように入っていく。
本当に私みたいな部外者が入っても良いのだろうか…。
「葵さん」
背後から私を呼ぶ声がして、振り向いてみるとそこにいたのは及川蓮のマネージャー、藤堂静香さんだった。
「こ……こんばんは……」
「私があなたを案内することになっています。
どうぞこちらへ」
そう言って、私をこちらへどうぞと手で導いてくれる。
「あ……ありがとうございます…」
藤堂さんはこんなに自然と私を案内してくれるのに、私はどこかぎこちなくなってしまう。
藤堂さんは私のこと…どう思ってるんだろう…。

