「どうして?葵ちゃんから断ったの?」
「私からです。蓮は何も悪くないです。
全部…私が悪いんです。
私が蓮を好きになってしまったから…。」
私が蓮を好きにならなければ…蓮を傷つけることもなかった。
私が蓮を好きにならなければ、こんなに苦しくなることもなかった。
いつの間にか蓮は私の中で大きな存在になっていた。
「意味がわからないよ…どういうこと?何で?好きなんでしょう?というか付き合ったばかりだったんじゃ……」
「私と蓮じゃ釣り合わないから…。
私が彼女だと蓮に迷惑をかけるんです。
蓮の邪魔はしたくないんです…」
目頭に涙がたまっていく。
泣いてはいけない。私だけが辛いんじゃない。
この決断を下したのは私なのだから。
「そんなの……そんなの言い訳よ!」
「え……?」
「葵ちゃんは及川蓮が芸能人だからとか、自分が一般人だからとか思ってるのかもしれないけど、そんなの言い訳!
怖いだけでしょう?いつか失ってしまうのが。だから自分から先に手放した。
葵ちゃんは……逃げてるだけだよ!!」
…………。
私は……逃げている。
運命から。
及川蓮は世間を圧倒する人気俳優。
篠葵は財宮司学園に通う普通科の一般の高校生。
この運命は変えられない。

