「これ、日誌」
そう言って差し出されたのはただの紙だった。
これがクラスの”日誌”?
穴が空いて挟めるようになっているようだ。
これをどうしろっつーんだよ…。
「私、今日彼氏とデートなわけ。
だから、日直の仕事お願いね、えーっと……セラくん?
じゃねー!」
セタ、だっつーの。
名前すら覚えていない堤さんに腹が立つ。
そして無理やり日誌を押し付けていったことにも。
紙を見ると、記載日、記載者、欠席者、時間割、今日の出来事…。
など、書かないといけない項目は揃っているが、教科担当の先生の欄まである。
知らねーよ、今日来たばかりなのに。
そしてこのペラペラの紙一枚をどーしろっつーんだよ。
机に日誌と呼ばれる紙をおいてにらめっこする俺。
そんな中、2年9組の生徒は下校していく。
仕方ない、わかる部分だけ書いて担任に渡そう。
そう思って筆記用具を取り出す。
「あの……」
「あ?」
前から俺に話しかけて来たのは、俺の前の席の篠だった。
「日誌……私が書くから帰っていいよ」

