俳優と、恋愛と。






「葵っ……!」




どのくらい走っただろう。
ダテメをしていると暑い…けど…立ち止まっていられない。


琴李京香からの電話は唐突だった。
それは、葵がいないという連絡だった…。






………………数時間前___________




ピッ





「及川ですが………、今日はすみませんでした!」





絶対に怒られる。
携帯を通して怒られるくらいなら直に怒られたかった…。
そう思って手を握りしめる。





『何謝ってるの、あなたのヘタレな演技とかどーでもいーんだけど。超どーでもいいんだけど。
それより葵知らない?』






ヘタレな演技……。確かに…メンタルの弱い俺の演技は…その言葉がぴったりかもしれない。






「葵ですか…?
今電話かけてたんすけど…でなくて」






『あなたのとこにもいないの?
美結ちゃんに聞いても知らないって言われたし…』






「葵に何かあったんですか?」





『………葵が家にいないの』






……………………_______________



何時間走っただろう。
葵のいきそうなところなんてわからなくて、色んなところを走り回った。
それでも葵は見つからなかった。




変な奴に捕まってないといいんだけど……。




どこかで倒れてないか。
どこかで怖がってないか。


嫌な想像ばかりが浮かぶ。