葵は……?
撮影がひと段落して休憩になり、周りを見渡すけど、葵がいない。
「あの…葵知りませんか?」
「葵?さぁ、探索でもしてるんじゃない?」
桐花さんに聞いてもそんな返事。
「葵さんなら校舎裏に行くのを見ましたけど?」
スタッフの1人が俺に助言してくれる。
「ありがとうございます」
そう言って校舎裏に行こうとすると、葵が帰ってきた。
「あ!葵!!」
俺がそう呼ぶと肩を震わせる葵。
どうしたんだ?
困惑した表情に見えるのは…俺だけだろうか?
心配になって葵に近づく。
「どうした?何かあったのか?」
でも葵は俯いたままで顔を上げない。
「なんでも…ないの…。
ごめんなさい、今日は帰る…」
「え?」
そう言って校門の方に向かっていく葵。
休憩はまだある…
「葵、送るよ」
そう言って葵の細い腕に手を伸ばす。
「触らないで!」
「………え?」