葵は控えめに、首を傾げて俺に聞く。
葵は上着を持ってきていたらしく、上に羽織っている。





「あー、少し…」





「…………今だけ……ね?」





「え?」





葵がそう言ったかと思ったら、葵は俺の真正面に立って俺を抱きしめた。






「あ……葵?」






「うるさい……風邪ひかれたら困るから…。
黙って抱きしめられてて」






「………はい……」






反論もできない。それだけ俺は弱っているみたいだ。
それに、こんなにツンデレな彼女が愛おしくて離すこともできない。


それに……温かい……葵の……温もり。




そうしてずっと葵に温めてもらいながら、桐花さんが来るまで静かに抱きしめられていた。