太陽の沈みきった海は静かで…少し肌寒かった。
それに、俺たちは海の中に転んだわけで……そこでずっとキスしてたわけで…。
夏の気候に変わりつつあるというものの、濡れた状態で日暮れまで過ごすのはさすがに寒かった。





「どうしよう…体が海水でベタベタ」





「葵、寒くない?」





「私は大丈夫……」






だからと言って気持ち悪いよな…濡れたままでいるのは…。
俺も葵も下着まで濡れている。この状態で帰るのも…。






ピリリリ





「あ、お姉ちゃん……。
出てもいい?」





「あ、おおー」





砂浜を歩きながら葵が桐花さんからの電話に出る。





「うん……二人ともビショビショで……。
ごめんなさい……。
うん……うん……わかった…」





ピッ





「桐花さんなんだって?」






「砂浜の近くまで迎えに来てくれるって……。」






それはかなりありがたいことだが…こんなに下半身が濡れた状態では車にも乗れない。





「タオルを大量に敷いとくから絶対車を濡らすな!だって。」






それならなんとかなるか…と思いつつ、今日は少し疲れたなとも思う。
俺の体はかなり冷えている。
明日は撮影だから風邪をひいては困る。

海で少し調子に乗りすぎた。





「蓮…寒い?」