俳優と、恋愛と。







「す……ごい……」






葵の弾んでいた足が止まる。
なんと目の前には水槽のトンネル。
周り一面海の中。






「き……綺麗!!」





一面に広がる海。
その中にいるなんて……。
今まで見てきた水槽とは変わらないはずなのに、魚をもっと身近に感じる。






「海の中にいるみたい………」






全くそうだ。
壮大で…神秘的……そして幻想的。
目を離すことができない。







「エイだ!」






大きなエイに、大きめのサメ、そしてマンボウ。
そんな中を群れで動く魚が列を作る。

かなり暗いはずなのに、葵は怖さなんて忘れられるのか、水槽に釘付けだ。






葵が俺の手を強く握るのがわかる。
そしてゆっくりトンネルの中を進む。




「どこか異世界に連れて行かれそうだね……」





葵が小さく呟く。
よくわかる……。トンネルを抜けたら…知らない他の世界にいるような感覚。





あと一歩でトンネルを出る。
すると葵の足が止まる。





「どうしたの?」





「………イルカショーが一番楽しみだったけど……、このトンネルが一番印象に残った……」




「あぁ……」






そうして最後の一歩を踏み出した。