”初めから蓮しか頭にないもん。バカッ”
そんな捨てゼリフを残して俺の手からのがれて早足で行ってしまった彼女。
「くそっ………」
可愛すぎる……。
朝会ったとき。
早く会いたくて、無意識に家を早く出て、一本どころか予定よりも6本早い電車に乗って、彼女が来るのを待っていた。
まぁそんな事実を言えるはずもなくて…。
電車から降りてきた彼女。
薄着をしていて体のラインがよく出ている上半身。
マキシ丈のスカートがスタイルの良さを際立たせる。
普段していない化粧もしている。
本人は薄めにつけたつもりなのだろうが、化粧している顔を見慣れない俺にはすぐわかった。
そんな気持ちを隠すために彼女をからかった。
”なに?見惚れちゃった?”
こんなの嘘だ。
見惚れてたのは俺。
そんな気持ちをごまかすために言っただけなのに、今日の彼女は正直で……。
何が”見惚れてたの。悪い!?”だよ。
悪いっつーの。なんで今日に限ってそんなに正直なんだよ…。
気持ちをごまかすために言ったことが、結果として俺に赤面させた。
そしてそれをごまかすために抱きしめた。
本当に調子が狂う。