マネージャーがもう車を回している。
来いということだろう。
ガタン
「一度事務所へ帰るわよ」
「は?今日はこのあと休みじゃなかった?」
「色々あるのよ」
そしてマネージャーは車を出す。
マネージャーの運転は荒い。
走り出した勢いに、映画の撮り終えたお祝いにともらった花束の花びらが何枚か舞い散る。
マネージャーは俺が芸能生活を始めた頃から変わらない。
気の強い、負けん気を知らない女、藤堂静香。
この人のことは一応信用している。
女の中でもこんなにサバサバした女には会ったことがない。
綺麗な顔立ちはしているが絶対に媚を売ったりしない。
そういう女の方が俺も関わりやすい。
「実はまた仕事の依頼が入ってるんだけど、その説明」
「へー…」
俺の世間の人気は上昇中。
仕事も切りが無いくらいたくさんくる。
でも俺も一応学生で、学校にも通ってるわけ。
だから全部の仕事は受けれないし、
高校生の俺はまだ自分では仕事を選べない。
だからマネージャーに言われた仕事をこなす。
マネージャーも俺に合う仕事を選んでくるし。