「それで何の用だよ、切るぞ?」
『ちょいちょいちょいちょい、ひどいなぁ〜。
いや〜今日ね、俺葵ちゃんを助けてあげたの。
それで葵ちゃんが俺の話ししてなかったかな〜なんて♪』
「してない」
『即答辛っ!!』
暮人のテンションがやけに高い。
女といるのか?
「何したんだよ…変なことしてないだろうな…」
『ひどいなぁ、助けたんだって。
テレビの人に話しかけられて嫌そうにしてたからさ。
まぁ葵ちゃんくらいの可愛さならそりゃぁテレビ側としても映したいよね〜』
去年の主演賞を獲ってただけあって知名度もあるのだろう。
「それだけかよ、電話してきたのは……」
『ほんとつれないね、慰めてあげようと思ったのに』
「は?大きなお世話」
暮人も葵が樫月に告白されたことを知ってるのか?
いや、さすがに芸能科が普通科の恋愛事情なんて知らないだろう……。
『蓮に一つ教えといてあげるよ。
葵ちゃんはね、学校中で人気なんだよ。
普通科芸能科問わず男子の人気ナンバーワン。
告白だってされてるんだよ?芸能科のやつに。
校門前で待ち伏せされてることだってあるんだから』
なんだそれ、本当なのか?
葵ってそこまで人気なのか?
確かに可愛いかもしれないけどそこまでされると……アイドルじゃん。
『葵ちゃんなめてちゃいけないよ〜』