そうして文化祭を回り始めた私たち。
時間がたつのは早いものでもうお昼を回っていた。
「葵の上!」
「樫月くん」
ふと声をかけられると執事服を身にまとった樫月くんが立っていた。
「葵の上も売り子してよ。もっと売上げ上がるのに」
「絶対やりません」
樫月くんもイケメンだから周りには人だかり。
「葵、こちらは誰?」
お姉ちゃんが私の肩口から顔をのぞかせる。
「あ、一緒に京都に行ったクラスメイトの樫月くん。こちらは私のお姉ちゃんです」
「あ、噂の桐壺の更衣さんですか!?」
「えー、そんなこと知ってるの!?恥ずかし!」
「有名ですよ〜」
桐壺の更衣とはこれも葵の上と同じく、源氏物語に出てくる登場人物で、光源氏のお母さんだ。
お姉ちゃんの名前の”桐花”からとっているらしい。
「葵、葵の上って呼ばれてるのね。
私たちは源氏物語の登場人物かって感じー」
お姉ちゃんには言ってなかったからな。
「名前だけでなく顔も美しいですからね、お二人とも」
「うまいね、樫月くん」
樫月くんはフレンドリーだからもうお姉ちゃんと打ち解けている。

