「何か話せよこいつ」
よく見ると、この芸能科の生徒は、俺の元クラスメイトだった。
確か前にどうして連絡くれなかったの?と聞いてきたやつ。
やっぱり女は怖い。
俺が及川蓮であるとわからなくなったら、いきなり態度を変える。
だから嫌いなんだよボケが。
とりあえずこいつらは無視だな。
目の前にいる元クラスメイトの言葉を無視し、理事長室へ向かう。
「何、あいつ、ムカつくんですけど」
「私たちに話しかけてもらえただけでも喜びなさいよね」
そしてなんて奴らだ。俺は全く迷惑だと言うのに、喜べだと?無駄な時間を使わせるな。
早足で理事長室へ向かう。
初めてくるなぁ…本館自体…。
基本的に本館への出入りは最低限しないようにと言われている。
本館にあるのは職員室、音楽室、それに理科室などの移動教室だ。
時間割も普通科と芸能科が鉢合わせにならないように組まれている。
「ここが理事長室……」
コンコン
「はい」
ドアをノックするとすぐに返事が返ってくる。
ここはどちらの名前を使えば……。
「あ……。瀬田です。
瀬田祐樹です」
迷った末に、偽名を使うことにした。
まぁこの地味な格好のときの俺は瀬田祐樹だしな。
ギィー……
「お入りください」

