葵と樫月くんがいないなか、文化祭の準備は進み、いよいよ前日となった。
2人も今日の夜に帰ってくるらしい。

桐花さんは撮影が終わり次第葵を駅まで迎えに行くそうだ。





そして今日は俺が1番初めに課題として与えられたアドリブ演技のシーン。
正直何も考えていない。

こんなんで俺は大丈夫なのだろうか……。





「及川くーん?元気なくない??大丈夫?」






「あ……すみません」





相変わらずテンション高めな杉浦みずき。
そんな人に今日は付いて行けそうもない。





「え、本当に大丈夫なの?」





「………はい……」





「間がありすぎ!」






大丈夫かと聞かれると大丈夫じゃない。
とにかく葵に会いたい。
仕方のないこともあるんだ……。





「杉浦さん…」





「なんだい少年!」





今日の杉浦みずきはやけにテンションが高いな。





「もし好きな人が付き合っているとわかったらどうしますか?」






「え、?葵ちゃん付き合ってるの?」






なんで葵の話になるんだ…一言も言ってないのに。





「葵とかじゃないです。
杉浦さんならどうしますか?」