「ちょっと、そんなわけないでしょ?
葵と樫月くんが付き合ってるなんて、変なこと言わないでよ」
『それが本当なんだよね〜。みんなが見てるんだから』
「何を………」
歌田さんは本当に信じられないようす。俺も信じたくはない…。
『葵の上と樫月が屋上でキスしてるところ』
「そんなわけ……」
『今結構噂になってるところ』
やっぱり俺が見たものは見間違いなんてものじゃなかった。
あれは……現実で……。
「おい、何を騒いでいるんだ。授業を始めるぞ」
みんなが葵と樫月の噂をする中、担任がやってくる。
『先生!樫月君と篠さんの姿がありませんが?』
授業が始まったのにもかかわらず、クラス内に2人の姿はない。学校にはいたのに…。
「あぁ、2人には今日から文化祭までの間、J大学に行ってもらうことになったんだ。
京都のJ大学から直々に授業体験生2名の募集があって、学年1位2位の2人にお願いしたところ、いい返事をもらえたものでね。
明日から行くことになるから今日は今から荷造りをして出発だな。」
またクラスメイトが騒ぎ出す。
葵は……。樫月と2人で……難関大と有名な他県のJ大学……。
「今日2人に伝えてしまったから申し訳なかった…。それに樫月は文化委員だから抜けると痛い…。だが2人の分も頑張るんだぞ!!」
みんなからは歓声が上がる。でも俺は全然納得できなかった。
葵と……樫月くんが……。
俺は目の前の空いた席を眺めていることしかできなかった。

