「葵と仲良くしちゃってー、むかつく。」
「は?」
俺を見る目は監督、琴李京香の目ではなく、妹を思う篠桐花という姉の目。
目が笑ってなくて本当に怖い。
「いや………なんでそういう話に……」
「仲直りしちゃって、葵なんて”蓮”とか呼んじゃってるし本当に気持ち悪い!!私の葵なのに!!」
葵と仲直りできたのも桐花さんのおかげなんだけどな…と思いつつ、ディスられてることで少し傷つく。
「なんで琴李さんが知ってるんですか……」
「私は葵のなんだって知ってるもの。
葵のあーんなことやこーんなことまで知ってるもの!」
シスコンとはこういう人のことを言うのだろうな…。
「でも葵ちゃんもなかなか成長しましたね!
あんなに男嫌いだったのに!!」
「そうなんですか…?」
杉浦みずきが嬉しそうに頷く。
確かに男子とかにチヤホヤされるのは苦手そうだったけど、嫌いだったのか…。
「まぁ瀬田祐樹は地味だから。地味だから。
心を許したんじゃないの〜?」
琴李京香の言葉に少し傷つく。
葵は初対面が及川蓮であっても、仲良くしてくれただろうか。
「でも今の及川くんになら、葵ちゃんも惹かれてるんじゃないかな。
及川くん。初めに比べて本当に柔らかくなったと思うよ」
「柔らかく?」
「うん。
初めはチャラそうで何事にも興味がなさそうで、女子なんて道具ぐらいにしか思ってなさそうだったのに。
葵ちゃんの話をする及川くんは優しい目をしてる。それに楽しそう」
杉浦みずきの言ってる事はほとんど当たってる。
初めは嫌だった普通科の生活だって、今は楽しい。
それは…葵に出会えたから。

