「可愛い…………」






素直に思う。

俺の腕の中で泣いている女の子には聞こえていないようだ。
華奢で小柄なくせに素直じゃなくて可愛げがなくて。

でもそんな彼女が愛おしい。




素直じゃなくて意地っ張りなところが今はむしろ可愛いと思ってしまう。
恋とは恐ろしいものだな。




無防備に泣き続ける彼女をもう一度強く抱く。
少し力を入れただけで壊れてしまいそうだ。




素直じゃない君は俺の胸で泣いている。
俺には弱い部分を見せて欲しい。
俺だけが君の弱い部分を知っていたい。

泣くのは俺の胸の中だけにしてほしい。
他のやつらに涙を見せないでくれ。




離したくない。
それだけ愛おしい。





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「ありがとぅ………蓮……っ……」





ようやく落ち着いた葵チャン。
もう俺のシャツはビショビショだ。




葵チャンに蓮って呼ばれるのが嬉しすぎる。
初めもさっきも呼ばれるのは不意打ち。

というか葵チャンは不意打ちが多すぎる。



わざとじゃないことはわかってるけど、何か悔しい。





「ごほうび……の前に俺の点数は聞かないの?」





「ご……ごめんなさい……。聞きます…」