「瀬田のバカ」
「瀬田じゃねーし。蓮……だろ?」
「…………っん………」
蓮に抱きついた瞬間涙が溢れる。
嬉しくて。
お姉ちゃんを越えられたことはもちろん嬉しいけど、自分の弱さに打ち勝てた気がして、すごく嬉しい。
人前で泣くことなんてなかったのに、どうして蓮の前ではこんなに泣けてしまうんだろう。
「ほんと泣き虫」
蓮も座る私を優しく抱きしめてくれる。
「よく頑張ったな」
そうして頭も撫でてくれる。
この手が好き。
この腕の中が好き。
この胸が好き。
私………蓮のことが好き……。
「蓮っ………ありがとうっ………」
「ん…………」
私は蓮が好きなんだ。
別に顔とかじゃない。瀬田祐樹でも好きになった。というか瀬田祐樹のことを好きになった。
蓮の内面が好き。
蓮の全部が愛おしい。
恋ってこういうことなんだ……。