「色気のねぇ声……」
「なっ………」
いきなり引っ張られたんだから仕方ないじゃん……悪かったわね、可愛くなくて。
言った本人の瀬田はそのまま部屋の奥へ進み、椅子に座った。
続けて私も机を挟んだ向かいの椅子に座る。
「おめでとう。」
「………あ……ありがとう……」
目を見て素直に言われると恥ずかしい……。
そして流れる沈黙。
「あの……どうしてここに…」
「………2人きりになれるだろ?
それとも俺よりも樫月クンといたかった?」
「樫月くん?」
なんでこのタイミングで樫月くんが出てくるの?
「どうして樫月くんなの?」
「……………」
そうすると押し黙ってしまう瀬田。
なんなのよ……ほんとに。
「どうしたの?」
「……………お前こそもっと喜べば?」
「…………」
「俺の胸なら空いてるけど?」
そう言ってカツラとメガネを外し、口の端をニヤッとあげて、両手を広げて私の前に立つ瀬田…。
生意気すぎ……。