「やっと…やっと……やっと桐花さんを……」
「越えられたのは嬉しいけど……私、別にもうどうでもよかったの」
「え?」
確かに前までは、お姉ちゃんしか眼中になくて、お姉ちゃんを越えられればいいと思ってた。
でもそうじゃなかった。
お姉ちゃんにとらわれすぎてた私が悪かったんだ。
そう教えてくれたのも瀬田。
全部……瀬田のおかげ。蓮のおかげ。
そう思って蓮の方を向くと、
「いない………」
「瀬田ならさっき出て行ったよ?」
美結が察したのか教えてくれる。
「わっ私帰る!!」
「葵の上!?」
慌ててカバンを持って教室から出て行く。
それまでにいろんな人に止められたけど、今会いたいのは……蓮……。
***
「葵の上は………あんなに焦って誰に会いに行くんだい?」
葵が出ていった教室で樫月が美結に尋ねる。
「さぁ?愛しい人とか?」
「それは……厄介だね」
美結は何かを企んでいるような顔で、樫月君はどこか焦った顔をする。
でもそれは葵の知らないこと。

