視線を上げると、返事もしてないのにもう扉を開けている瀬田……及川蓮。
「…………」
何も言わずに近づいて……私を抱きしめた。
「なっ………離してよ」
「俺の目見て」
「…………」
少し体を離して私をまっすぐ見る及川蓮。
「怯えないでほしい。ちゃんと全て話す。
だから篠にも受け入れてほしい……。
俺は……誰に嫌われたって構わないけど……。
篠だけには嫌われたくない。」
同じことを思ってる……。
私も……瀬田には嫌われたくないよ……。
言い終わると体を離して向き合って座る。
そして、瀬田は全部話してくれた。
芸能科に通っていて、お姉ちゃんの計らいで普通科に転校したこと。
普通科に転校したのはドラマのためであること。
「初めは普通科なんて嫌だなと思ってた。
篠の言う通り、俺面倒くさがりだし。
でもさ、楽しくなってきたんだよ。篠に出会って。
友達だっていないし、初めてのことばっかで楽しくなかったのに、篠のおかげで色のない世界に色がついたんだ。
俺は本当に篠に出会えてよかったと思ってる。
騙してるわけじゃなかった。
今まで言ってきた言葉も全部俺の本心だ。
篠に嘘をついてたのは瀬田祐樹と及川蓮が同一人物であることぐらいで、
他は全部本当のことだ。」
「私こそ……カッとなって、ひどいこと言っちゃってごめんなさい……」
「なんで篠が謝るんだよ」

