俳優と、恋愛と。






「何言って……」





「………すまない、葵」





俺の声を無視して琴李京香は篠に頭を下げる。





「お姉ちゃんは……知ってたの…?」





「………私が指示したの」





「…………」





「及川蓮、ヅラは玄関まで吹っ飛んで、メガネは割れてるぞ」





「は?」





頭を触ると、ボサボサのカツラとは違った、自分自身の柔らかな髪。

まさかと思って顔をペタペタ触るとないメガネ。


マジかよ……。





「篠……」






「……みんなで……騙して楽しんでたの?」





「葵っ……」





篠は俯いて、拳をぎゅっと握って震えてる。





「瀬田が今まで私に言ってくれたことも…全部…全部嘘だったの?」





顔を上げてようやく俺を見た篠は……泣いている。





「違うっ…俺は」





「ごめん…今は何も……わかんない……」






そう言って俺の隣を通り抜けて、階段を登って行く篠。