「おはよう」
「………おはようございます」
あからさまに顔をしかめるのは篠だ。
俺の敬語が気に入らないのだろう。
でも俺そんなこと気にしない。
「その計算間違ってる。」
「は?」
「分数なんだからマイナス乗しないと」
俺はただいま机に向かって数学のテスト勉強中。
篠のことを考えてばかりで集中できてなかったのか、間違いがあったようだ。
でも言い方が嫌味っぽくて気に入らない…。
「どれですか?」
「え?それよ、大問5の2個目…」
わざとそう言ってみるが、やめておけばよかった。
篠はあまり目が良くないのか俺のノートに顔を寄せる。
それは必然的に俺との顔の距離が近くなるということで…。
「ほら、ここ」
篠が顔を近づけて指差し、俺のことを目線だけ見上げてくるけど…。本当に半殺し。
女子の上目遣いがこんなにイイと思ったのは初めてだ。
まぁ女子自体に可愛いとかいう感情を抱くことすらほぼ初めてな訳だ。

