「また……。プライベートで会ってくれる……かな??」





俺の服の裾を掴んで、背の高い俺を上目遣いで見上げる工藤玲奈。
今、話題の女優だけあって、男はこんな仕草でもうイチコロなんだろうな。

だが俺はそういう執着は持たない。
女には慣れている。
どんな女でもこうやって言いよってくるのだ。

正直、どんな女が可愛いとか全く俺にはわからない。
こんな猫なで声で誘ってくる女のなにがいいのだか。





「そうだね、予定があったらまた会おう」





これが俺。
敵はいらない。必要なのは味方だけ。
これぞ平和主義。

ちゃんと噂が立たない程度に遊んでるからニュースにも上がらない。
これでいい。これが俺だ。






「また連絡してね」





そう言って、工藤玲奈は俺に小さな紙を渡し、マネージャーに呼ばれて去っていった。


俺の手に握らされた小さな紙。
きっと書かれているのは連絡先。
こんなのオークションに出したら何円で売れるんだろう。
なんて考えている俺は最低だな。




もちろん連絡はしない。
理由はめんどくさいから。
最低限無駄なことはしない。





「蓮!行くわよ、早くしなさい!」