「瀬田と……及川蓮は……なんなの…」
「は?役と役者?」
「その瀬田じゃなくて……」
私の知ってる瀬田祐樹と及川蓮は……どこか似ている。
「………いつかわかるさ……」
そう言い残していってしまう。
まだまだ聞きたいことも言いたいこともあるんだ。
なぜ私はその一歩がいつも踏み出せないんだろう。
私はいつも臆病だ。
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なんとか撮影も終わった。
もう9時を回っている頃だろう。
夜中の仕事も大変だな…。
「葵、ちゃんとお礼は言えた?」
仕事が終わって少し気の抜けたお姉ちゃん。
でも肝心のことはまだできていなかった。
「今から行く……」
そう言い残して、及川蓮に近づく。
「及川蓮……」
及川蓮は隅のベンチで水を飲んでいた。
私の姿を見るなり少し驚く。
「お…おぅ…」
「昨日の記憶が一切ないの。
でもあなたには迷惑をかけたようだから…。一応……ありがとう」
「あ、いや……何も覚えてないのか?」
「?
えぇ……お酒を飲む前までしか……」
及川蓮はどこかぎこちない。
頭を抱えてうなだれる。何よ。
「何か粗相でもしてしまった?」
「………いや、知らない方がいい」
「は?」

