なんなのよ……。
そんななか、お姉ちゃんが私と及川蓮を見てニヤニヤしていることなんて気づかなかった。
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『泣くなよ……」
『だって…だって瀬田くんがあんな風に言われる必要ないんだよ?どうして?どうして悔しくないの?
私は悔しいよ…どうしてみんなは知ってくれないの?』
今のシーンは、及川蓮演じる役一匹狼(瀬田祐樹)が教室でクラスの男子に罵倒され、クラスメイトからも卑下され、
放課後、及川蓮役に淡い恋心抱くみずきさん演じる役(花森香澄)が無力な自分を哀れむシーン。
なぜ主人公と瀬田が同姓同名なのだろう。かわっている…。
思わず感情移入してしまう。
瀬田という名前だけに、反応してしまう。
『悔しくない』
『!?』
『俺は悔しくない。
俺が悔しがっていないのにお前が泣く必要はない。』
『瀬田……くん?』
スタッフ達が少し騒がしくなる。
それを真剣な眼差しで見つめるお姉ちゃん…。
私も言葉の続きを今か今かと待ち受ける。
『俺は誰に何と言われようと気にしない。なんと言われようが構わない。
相手が俺のことをどう思ってようが知らない。
それが俺だからだ。
俺は俺だ。誰かの言葉で人を判断するような奴とは違う。
お前は違うだろう?
あいつらの言葉を聞いて、一緒に卑下するクラスメイトとは違う…。
花森は俺をわかってくれてる。
だからお前が悲しむ必要はない。
一番わかってて欲しい奴に、俺のことを知っててもらえれば十分だ。』
全員が静まる。
花森香澄と瀬田祐樹の間だけにあるムード、空気。ついていけない緊張感。

