カツン。
俺の目の前で足を止め、腕を組んで鋭い目つきで睨む。
いや…これが琴李京香の真顔なのか…?
「実力は認めるわ。」
「え、……?」
”実力は認める”
ということは、俺は合格ってことか?
でも”実力は”ってなんだ……。
「あなたの存在感。みずきもいっていた通り、客席まで、見ている人まで惹きつける圧倒的な存在感。自信。
迷いのない演技。
アドリブで、相手との打ち合わせのない中で繰り広げられる演技。
迷いが入った瞬間、それは壊れる。
でもあなたにはなかった。
みずきが合わせた。
それもあるかもしれない。
でも、それ以上にあなたの演技がみずきにそうさせた。
あなたのシナリオ通りにしかみずきを動かさせなかった。
つまりみずきはもう手の内にあった。」
これは……褒められているのか??
でも相変わらず無表情。
俺の目を真っ直ぐに見たまま、まったく逃さない。
俺が吸い込まれてしまいそうだ。
「でも足りないのよ」

