いつかのデジャブなのか、今日は篠がパシられた…わけではないけど、数学の先生に変な言いがかりをつけられて仕事を与えられた。
俺には桐壺の更衣も、篠桐花というやつもわからないが、クラスはざわめいていた。
クラスの奴らが話すには、あの数学教師は篠を目の敵にしているそうだ。
そして、どこぞの大学の入試問題を篠に解かせる…そうだ。
篠は今まで難なく解いていたそうだが…。
「瀬田……」
俺に声をかけてきたのは歌田さんだった。
「あの…葵のことなんだけど…」
気まづそうな顔をして、なかなかすっと話さない歌田さん。
「データ資料室ってどこですか?」
「っ………」
歌田さんの言葉を遮って数学の先生が言っていた部屋の場所を聞く。
「うん…教える…。
瀬田、本当にありがとう」
「いえ…別に…」
篠には掃除も手伝ってもらったし、借りがある。