「カット」
琴李京香の声が響く。
俺のシナリオもここまで。
まさかこんなにシナリオ通りに行くとは。
まぁこれも杉浦みずきの実力なんだろう。
俺に合わせてくれていたというべきか…。
「どうだった、みずき」
琴李京香が杉浦みずきに感想を求める。
「今までにない逸材だと思います。
一緒に演技している私まで、圧倒されました。
誰にも負けないと言う自信の感じられる演技…。
アドリブ試験のところも、静と動の切り替えがうまかったなって思います。
動…の初めだって、すごい剣幕で、緊張感が私にも伝わりました。
一緒に演技している私も次にどうくるのか…すごくドキドキしました。」
かなりの絶賛だ。
まさかこんなに絶賛してもらえるとは…。
予想外だった……。
「そうね………」
琴李京香が立ち上がる。
そして、中央に立つ俺に近づいてくる。
カツ…カツ………
琴李京香のヒールの音だけが響く…。
なんでこんなことだけで緊張感が張り詰めるんだ…。

