俳優と、恋愛と。






「まぁ仕方ないんじゃねーか?
葵の上も桐壺の更衣には勝てないんだよ。
誰がつけたんだろうなぁ、上手いものだよ。
篠葵は名前からして篠桐花に負けてるんだ」





「…………」





泣くものか。
本当のことなのだから。
みんな思ってる。葵の上が桐壺の更衣に勝てないことなんて。




私も姉には勝てない。
名前にも裏切られた私。
もう立ち尽くすことしかできない。





「戻れ、出来の悪い奴はここに立つな」





先生に押されてよろめく。
席に戻る。





『葵の上どうしたの?』

『葵の上でもやっぱり解けない問題あるんだね』

『いや、あんなの習ってないし』

『何が間違ってたのかもわからないんだけど』




みんなの口々に話す言葉も全部耳に入って、全部遮断したくなる。
顔を上げれない。みんなの視線が痛い。
私は机に座っても、ずっと俯いたままでいた。