周りの声が聞こえても、先生は聞こえないふり。
私が解けるかどうかしか気にしていない。
難しい。
見てわかるけど、あの公式を応用すれば…。
カッカッカッ
白いチョークでいつも通りに解いていく。
私は姉には負けれない。
こんなところで姉の担任になんかに負けれない。
先生の問題を答えなければ私は姉になんか勝てない。
解ける。
長い計算。もう黒板の半分以上を占めた。
計算もようやく中盤に差し掛かる。
まだ習ってないけど、あの公式に順番に代入していけば……。
公式を思い出す。
姉に勝たなくては、姉にならなくては、認めてもらえない。
姉以下の私なんて、誰も見てくれない。
「葵!それ……」
「葵の上!」
「おーっと、口出しは良くない」
美結と樫月くんが私を呼ぶ声がした。
何だろう。でも大丈夫。もうすぐ終わる…。
そう思ったのに……。
「なんで……」
私の思うような答えが出なかった。
しかも最悪の結果。
なんで因数分解できないの?
ここに代入して、判別式に代入すれば…。
いくらやり直しても合わない。
符号が合わず、計算が進まない。

