俳優と、恋愛と。






気になって振り返ってみるけど、瀬田は気にした様子もなく、無視して計算し続ける。
集中して聞こえてないのだろうか。





「おい、無視するとはいい度胸だな、瀬田」





そう言われて、なんのこと?と言うように瀬田が顔を上げる。
この先生は生徒の好き嫌いが激しい。

姉の妹の私はあまり好かれていない。
姉ほど出来が良くないからだ。





「舐めた真似してると痛い目見るぞ…」




「はぁ……」





瀬田は全く気にしてない。





「あー、今年は出来の悪い奴が多くてのらないな。」





そんなこと知ったことか、とみんな言いたい。だが先生の出した問題に苦戦しているのか、顔を上げない。
上げているのは私だけ…。





「篠、暇そうだな。なにか、俺の授業は退屈か?」





「いえ、」





前回も授業で目をつけられて問題を解かされた。なんと理不尽なのだ。





「前の問題を解け」





「……はぁ…」





ザワザワ


『でたよ、いつもの…葵の上に腹いせだよ…』

『葵の上かわいそう、毎回毎回前で解かされて』

『前回のは難関大のK大の問題だったらしいぞ?』

『それ出す先生どうかと思うけど、解いちゃう葵の上がすごいよ』

『現役3年の問題を解かせるなっつーの』