姉は天才だった。
そんな姉になりたかった。
でも私はいつも勝てない。
「葵は気にしすぎなのよ…。
葵だってすごいじゃん。テストも毎回トップだし。一位しかとってないでしょ?
葵は葵だよ。気にする必要なんてないんだよ」
美結が気遣ってくれてるのはわかる。
でも美結もわかってる。
順位だけではダメなことを。
順位なんて形だけ。
歳の違う姉に勝つには点数で勝たなきゃ…。
でも、私は姉以上の点数を取れない。
私がどんなに高得点をとっても、姉の点数には及ばない。
「テスト前だから考えすぎなんだよ。
葵は日頃からちゃんとやってるじゃん。
ほらほら、次で最後の授業だし、頑張ろう?」
「うん…」
最後の授業は数学。
そして数学の先生は姉がこの学校に通っていた時の担任だ。
私が妹だということも知っている。
「授業始めるぞー席につけ〜」
いつも通りの授業が始まる。
次はしっかり集中しなくちゃ…。
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授業も終盤に差し掛かった。
瀬田に肩を叩かれ答える。
「ここの数字はどこに行ったんですか?」
「ここで出した答えを2の式に代入して、aについて整理したらこの形に行き着くよ」
「あ、なるほど……」
そう言って瀬田はまた解き続ける。
「……おい瀬田、俺の説明じゃわからねーっつーのか?」
数学の先生は短気で有名だ。
そしてすぐに怒るし変なところを指摘する。

