いつものように同じような授業が65分間みっちり行われる。
学校に来て、授業受けて10分休んで授業を受けて。
毎日毎日これの繰り返し。



でも寝ている生徒はいない。
65分間という長い時間の中でもクラスの生徒は全員集中を欠くことなく勉強に勤しんでいる。


そして、もうすぐ行われる中間テストにより、いつに増しても教室の空気はピリピリしているのだ。



私の後ろの席の瀬田も相変わらずだ。
最近は先生の質問にも人並みには答えられるようになってきた。
応用問題になるとてんでダメだが、勉強を頑張ってることがうかがえる。





「篠さん…」




「あ、はい?」




そして瀬田への質問対応にも慣れてきた。
私は授業なんかよりも、昨日のことが頭をよぎって仕方ない。



人気モデルと言われる暮人とかいう人に絡まれた。
そうだ、瀬田はあの暮人という奴の友達なんだよね…。
後で聞いてみよう…。




と思いながら、瀬田に数式を教える。





「ここのxの増加量が今求まったから……」





瀬田の顔は真剣そのもの。
これがこのクラスに入りたての”ダメガネくん”なのだろうか。
そんな名前は似ても似つかない。