自分のことなんて二の次に考える篠。
あいつは優しい。優しすぎる。
だから俺が及川蓮だとわかっても、表情ひとつ変えないだろう。
他の女子みたいに、媚を売ったりしない。
現に、今日もだ。
及川蓮の姿で、暮人と駅前ですあった時、篠は瀬田祐樹のことだけを考えてくれていた。
暮人になんて興味がなかったのに。
瀬田祐樹の名前を聞いて顔色を変えた。
あいつはそういうやつだ。
「あなたはやっと出会えたのよ。
自分を必要としてくれる人に。」
「…………」
「守りたいものに。」
「…………。」
「よかったわね」
そう言って俺の頭を軽く小突いて去っていく琴李京香。
俺は…篠を他の女たちと一緒には見れない。
あいつは特別…。
それは恋心とかじゃなくて…、ただ…あいつは特別なんだ…。

