俳優と、恋愛と。






『せ……瀬田くん?』





俺の手が自然と頰に伸びる。
赤く染まった顔。
篠……。


お前の表情がもっと見たい。
笑えよ。
篠の恥ずかしがる顔を、
篠の怒った顔を、もっといろんな表情を見たい…。




『瀬田くん……』




鼻がふれあいそうな距離で目が合う。
篠、お前は俺のことをどう思ってる?
俺は、お前のことをどう思ってる?

恋ってなんだ?
恋心って、なんだ?




可愛げもない。
素直じゃない。
そんな篠に俺が恋心を?
そんなはずはない。




「もっと俺を頼れよ…
もっと素直になれよ…。
意地はらなくていいんだよ……。
もっと頼ってくれよ……。」



篠……。





『瀬田く……って、いたっ』




「バカヅラしてんじゃねーよ。帰るぞ」




『え!ちょっとまってよぉ……』




触っていた頰を軽くつねる。
そう言って話をそらして保健室から出る。
違う。これは恋じゃない。気になるだけだ。

普通の女とは違う篠が気になるだけだ…。