待ち合わせ場所まで行き、15分遅れて暮人は来た。
相変わらず暮人は時間にルーズだ…。
そしていきなり外される俺のメガネ。
素顔で歩こうという暮人の提案に俺は顔をしかめるだけだった。
歩き始めて数分。
予想通り、大変多くの女子に囲まれた。
俳優としての及川蓮で、適当にあしらうこともできず、握手やサインを優しい口調で断る。
めんどくさい。
なんでメガネを外すんだ…。
そんな時に見つけてしまったのだ。
相変わらず笑わないで、歌田さんと歩いていく篠の姿を。
「篠……」
学校でも、篠は俺に何かを言おうとしていた。
でも俺は遠足の時のように篠に振る舞えなかった。
あの時の俺は、瀬田祐樹じゃなかった…。
篠を助けた時の俺は…及川蓮だった…。
そして、暮人も俺の言葉を聞き逃さない。
「篠?もしかして葵ちゃん!?」
暮人には普通科での生活の話を色々話していた。
一人でこの生活を送り続けるのは正直キツイので…。
だから篠のことも知っている…。

