「助けてもらったのに…お礼も言えてない…。
なんで……なんで心配なんかするのよ…。
私なんかより…瀬田の方が…」
瀬田は私を守って怪我をしたんだ。
私より重症に決まってる。
私が目を覚ました時に、瀬田はもういなかった。
今日だって、瀬田に大きな傷が残ってたらって怖かったのに、お礼さえ言えなかった。
「篠……」
「へ?」
え、?
今篠って言った?私のこと??
なんでこんなに驚いてるかっていうと、私を”篠”と呼んだのは及川蓮だったからだ。
及川蓮は目を大きく開いてやばいといった顔をしている。
「瀬田祐樹にお礼言いたかったの?」
「あ…はい…」
田井暮人は続ける。
「別に瀬田は気にしてないと思うけど、ね〜?蓮?」
なんでそこで及川蓮に振るのか気になったけど、つられて及川蓮の方を向く。
「……。瀬田祐樹は…、お礼なんていらないと思ってるよ…多分。
庇って助けたやつが元気にして、笑顔で過ごせてるなら、満足だ…と思う。」
「そうそう!いやー、でもあのめんどくさがりの蓮……じゃなくて瀬田祐樹が人助なんてねー」
”蓮”と言いかけたことに引っかかったが、やっぱり瀬田はめんどくさがりなのだなと実感する。

