「ちょっと、触りに行くわよ」
「え、行かないよ」
美結は勘定するためにもうお財布を持って立とうとしている。
案の定、及川蓮と田井暮人はたくさんの女子に囲まれている。
「あんなの無理だよ、近づくことすらできないよ」
「いいじゃない!手を振ってもらえればいいんだから♪いくよ!」
いつもこうやって美結の強引さに負けるのだ。
腕を引っ張られ、勘定をし、無理やり外に出される。
少し思い出す。
瀬田とした化学実験室の掃除の日のこと。
瀬田が水を汲みに行ってなかなか帰ってこなくて、転校してきたばかりだし迷ってるのかと探しに行った。
そして見てしまった。
どこぞのイケメンと瀬田が仲よさそうに話しているところを。
話し方はいつもの敬語や気だるそうな感じじゃなくて…そう、遠足の時みたいなハキハキした感じ。
あのイケメンは田井暮人だったのか…。
今顔を見て確信した。
何で瀬田がイケメンモデルと知り合いなの?

