俳優と、恋愛と。






瀬田はそのまま席についた。





「葵の上?大丈夫?」





「え?あ、…うん…」




樫月くんに話しかけられても、今頭の中に浮かぶのは瀬田のことばかり。
お礼を言わないと…でも…。


正直悲しかった。
自分が避けられてるようで。
瀬田に信頼していないと言われているようで。

ただ一言、”篠さん”と呼ばれただけなのに、私にはその一言が重かった。



何これ…。
いいじゃん、もともとそうやって呼ばれてたんだし…。


「葵……」




「授業始まるぞ〜座れー」




美結が私に声をかけようとしたところで、先生が入ってきた。
そして美結は思いつめないでね、と言って自分の席に戻っていった。





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今日の授業では全く集中できなくて、ずっとぼーっとしていた。

瀬田は相変わらず変わらない様子で、わからないところがあったら私をつついて呼ぶ。
そして私は教えて、お礼を言われて、会話終了。


違うよ…お礼を言われるのは私じゃない…お礼を言わないといけないのは私…。

わかってるのに…言えない。



瀬田の素顔が見たい…。
瀬田の本当の性格が知りたい。


これはただの興味なのか。
ただの好奇心なのか。


でも少なからず私は瀬田に興味を持ち始め、気になり始めていた。