瀬田はそのまま席についた。
「葵の上?大丈夫?」
「え?あ、…うん…」
樫月くんに話しかけられても、今頭の中に浮かぶのは瀬田のことばかり。
お礼を言わないと…でも…。
正直悲しかった。
自分が避けられてるようで。
瀬田に信頼していないと言われているようで。
ただ一言、”篠さん”と呼ばれただけなのに、私にはその一言が重かった。
何これ…。
いいじゃん、もともとそうやって呼ばれてたんだし…。
「葵……」
「授業始まるぞ〜座れー」
美結が私に声をかけようとしたところで、先生が入ってきた。
そして美結は思いつめないでね、と言って自分の席に戻っていった。
________________________________
今日の授業では全く集中できなくて、ずっとぼーっとしていた。
瀬田は相変わらず変わらない様子で、わからないところがあったら私をつついて呼ぶ。
そして私は教えて、お礼を言われて、会話終了。
違うよ…お礼を言われるのは私じゃない…お礼を言わないといけないのは私…。
わかってるのに…言えない。
瀬田の素顔が見たい…。
瀬田の本当の性格が知りたい。
これはただの興味なのか。
ただの好奇心なのか。
でも少なからず私は瀬田に興味を持ち始め、気になり始めていた。

