遅れて中学生になった私は、張り切って学校の門をくぐった。
初めての制服、初めての鞄、初めての靴。
どれも私にはキラキラ眩しくて胸が高鳴った。
1年A組。
私の学校は幼稚園からのエスカレーター式の名門校。
AからEまで5クラスあって、クラスも成績で決まる進学校。
自分で言うのも、なんだけど頑張ったせいかAクラスになれた。
これは自分でも褒めてあげたくなった。
教室に向かう廊下で何人かの生徒が私を見てコソコソ話をしていた。
「あれ、誰?」
「………」
「あぁ天才ちゃんね。」
聞こえてきた会話が私を一層緊張させた。
『天才ちゃん?私のこと?』
もう一人の子はなんて言ったんだろう。
教室の前で深呼吸をして、扉に手をかけた。
開けると、賑やかだった教室がシンっと静まり一斉に私に視線が注がれた。
「おはよう。」
大きい声でって思っていたのに、出した声は自分でも聞こえないぐらいの小さな小さな声だった。
緊張で笑顔がひきつる。
一斉に向けられた視線は、一斉に元に戻った。
自分の席が何処なのかわからず、キョロキョロと教室を見渡す。
窓際の一番後ろに座っていた一人の女の子が私に視線を向け笑った。
急に向けられた笑顔に少し戸惑った。
「出流さんの席はここよ。」
そう言ってその子は自分の前の席を指した。
私はその子の指した席に行くと、その子に「ありがとう」と言った。
席に着くと周りがコソコソと話してるのがわかる。
廊下にいた子と同じような感じだった。
後ろから、トントンと肩を叩かれた。
振り返ると、さっき席を教えてくれた女の子が笑っていた。
「私(わたくし)速見 玲那と申します。出流さんは、もう風邪はよろしくて?」
「あっ私、出流 希華です。うん、もう大丈夫。」
「出流さんは成績優秀ですのね。皆さん噂してますのよ。天才が来たって。」
「そ…そんな天才だなんて。」
「そんな謙遜なさらなくても…。私どもの学校は幼稚園からのエスカレーター式でしょう?!だから皆さんそんなに勉強しないのよ。それなのに途中からの出流さんが、このAクラスなんですもの、皆さん噂もしますわ。」
さっきまでコソコソ話をしていた皆が、私と速見さんの会話を聞くように静かになった。
なんだか異様な光景に思えた。
「でも天才なんて私には…。」
「そうよね。困るわよね。私のこと玲那って呼んでくれていいですわ。私も希華って呼んでもよろしくて?」
「うん。」
「じゃ今日から私たち、お友達ね。よろしく。」
そう言って速見さんは手を出して握手を求めてきた。
まさか自分からじゃなく相手から言われるなんて思ってもみなかった。
私は速見さんの手をとり「よろしく。」と、答えた。
そのやり取りを見届けるように、一層に私に群がった。
やっぱり違和感を感じる。
その違和感は、それからそう遠くない未来に味わう事になった。
イジメという名の違和感。
初めての制服、初めての鞄、初めての靴。
どれも私にはキラキラ眩しくて胸が高鳴った。
1年A組。
私の学校は幼稚園からのエスカレーター式の名門校。
AからEまで5クラスあって、クラスも成績で決まる進学校。
自分で言うのも、なんだけど頑張ったせいかAクラスになれた。
これは自分でも褒めてあげたくなった。
教室に向かう廊下で何人かの生徒が私を見てコソコソ話をしていた。
「あれ、誰?」
「………」
「あぁ天才ちゃんね。」
聞こえてきた会話が私を一層緊張させた。
『天才ちゃん?私のこと?』
もう一人の子はなんて言ったんだろう。
教室の前で深呼吸をして、扉に手をかけた。
開けると、賑やかだった教室がシンっと静まり一斉に私に視線が注がれた。
「おはよう。」
大きい声でって思っていたのに、出した声は自分でも聞こえないぐらいの小さな小さな声だった。
緊張で笑顔がひきつる。
一斉に向けられた視線は、一斉に元に戻った。
自分の席が何処なのかわからず、キョロキョロと教室を見渡す。
窓際の一番後ろに座っていた一人の女の子が私に視線を向け笑った。
急に向けられた笑顔に少し戸惑った。
「出流さんの席はここよ。」
そう言ってその子は自分の前の席を指した。
私はその子の指した席に行くと、その子に「ありがとう」と言った。
席に着くと周りがコソコソと話してるのがわかる。
廊下にいた子と同じような感じだった。
後ろから、トントンと肩を叩かれた。
振り返ると、さっき席を教えてくれた女の子が笑っていた。
「私(わたくし)速見 玲那と申します。出流さんは、もう風邪はよろしくて?」
「あっ私、出流 希華です。うん、もう大丈夫。」
「出流さんは成績優秀ですのね。皆さん噂してますのよ。天才が来たって。」
「そ…そんな天才だなんて。」
「そんな謙遜なさらなくても…。私どもの学校は幼稚園からのエスカレーター式でしょう?!だから皆さんそんなに勉強しないのよ。それなのに途中からの出流さんが、このAクラスなんですもの、皆さん噂もしますわ。」
さっきまでコソコソ話をしていた皆が、私と速見さんの会話を聞くように静かになった。
なんだか異様な光景に思えた。
「でも天才なんて私には…。」
「そうよね。困るわよね。私のこと玲那って呼んでくれていいですわ。私も希華って呼んでもよろしくて?」
「うん。」
「じゃ今日から私たち、お友達ね。よろしく。」
そう言って速見さんは手を出して握手を求めてきた。
まさか自分からじゃなく相手から言われるなんて思ってもみなかった。
私は速見さんの手をとり「よろしく。」と、答えた。
そのやり取りを見届けるように、一層に私に群がった。
やっぱり違和感を感じる。
その違和感は、それからそう遠くない未来に味わう事になった。
イジメという名の違和感。


