僕の好きな女の子

三日遅れの中学校に希華ちゃんはドキドキしていた。
「緊張するぅ!クーちゃんも一緒に行けたらいいのに!!」
じゃ連れて行ってよ。なんて言えない。
「友達できるといいなぁ。クーちゃん、私頑張ってくるね!いってきます。」
いままでと変わりなく希華ちゃんは家を出て行った。
夕方帰ってきた希華ちゃんは満面の笑みで、ただいまと行って家に入ってきた。
夕食の席では、ずっと学校の話をしていた。
「不安だったんだけど、みんな優しかった。」
そう笑顔で言う希華ちゃんにパパさんもママさんも、ボクも嬉しくて安心したんだ。
なのに部屋に入って扉を閉めたとたん希華ちゃんから笑顔が消えた。
「嘘…ついちゃった。」
!!!!!!
嘘!?嘘って何?
どれが嘘?
希華ちゃん?なんでそんな顔するの?
すごく悲しそうだよ。
希華ちゃんはベッドに座るとボクを膝の上に乗せた。
「クーちゃん…私ね…本当は誰とも話せなかったの。」
え?だってさっき…。
「さっきは心配かけたくなくて嘘ついちゃった。」
そう言った希華ちゃんの顔はさっきより辛そうな顔になった。
それっきり希華ちゃんは黙り、そのまま眠りについた。
それから毎日学校に行っては夕食の時嘘をつき、部屋に戻っては悲しい顔をする日が続いた。
雨が毎日降る季節になった頃、ある日びしょ濡れでキミは帰ってきた。
ママさんもお仕事をしだしたから家に居なかったせいか、玄関を開けるなりすすり泣く声が聞こえた。
そのまま洗面所に行ってタオル持ってボクの所にきたんだ。
確か今朝ちゃんと傘持って行ったよね?
ママさんが渡してたよね?
希華ちゃん…傘どうしたの?
なんでそんなに濡れてるの?
「クーちゃん…傘壊れちゃった…」
壊れちゃった?でもあれって、少し前にパパさんが買ってきてくれたやつじゃ…。
「パパに謝らなきゃね。」
そう言って笑ってみせたけど涙の跡がボクには気になるよ。
その日希華ちゃんは御飯を食べなかった。
次の日希華ちゃんは熱っぽいと言って学校にはいかなかった。
けれど、ボクを抱く腕は熱くない。
また嘘をついた。
中学校に行くようになってからキミは嘘をつく事が増えた。
ねぇ希華ちゃん何があったの?
答えてあげられないけど、聞いてあげれるよ。
一日中ベッドの中で何を考えてるの?
お昼になった時、希華ちゃんの携帯が鳴った。
ベッドから出てきて机にあった携帯を見た。
希華ちゃんの顔が強張る。
「明日は行かなきゃ…。」
そう言った希華ちゃんの瞳からボロボロと涙が溢れた。
学校…行きたくないんだ。
やっぱり学校楽しくないんだ。
希華ちゃん…ボクは何も出来ない…なんでこんな姿なんだろう。
キミが泣く姿は見たくないんだけどな…。