「息子の命は残りわずかなの。」


一瞬息が止まった。

足の指からぞわぞわっと寒気が押し寄せた。

田中と書かれたプレートがはめ込まれている病室の目の前で、大きな、まつ毛の長い目を見開いたまま、鈴木美星はその場に立ち尽くしていた。

「今、なんておっしゃいました・・・?」

間抜けな声で、もう一度相手に聞いてみる。

「息子は、…もう、ほとんど生きられないの…」

がくりと涙を流しながら崩れ落ちる田中のおば様を見て、美星はやっとその言葉を理解できた。

「自分の幼なじみが、もうすぐ死んでしまう」ということに。