「最近、テレビによく出てるよねー。野菜ソムリエかなんかの資格を持っているんだっけ?こんなに美人なのに今時のモデルさんは本業以外にも趣味がないと芸能界で生きていけないのかな?」

……実物も顔が小さくて、とっても美人でしたよ。

目元はお人形さんのように睫毛が扇形に広がっていて、緩くウェーブを描いたこげ茶色のセミロングの髪を片方の肩によせて。

カーディガンをプロディーサー巻きで羽織った姿は王子さんと並ぶと、お似合い以外の何物でもなかった。

……軽く存在を無視されたのは腹立たしいけれど、それも仕方ないって思えてしまう。

私は麻帆さんから雑誌を取り返すと、こっそりバッグの中にしまった。

どうやら、麻帆さんは朝霧萌と王子さんの関係を知らないらしい。

間違いないと女の勘が告げている。

……あの人がグラタンを要らないと言い捨てたモデルの元彼女だ。