「いやあ、最高でしたね!!」

困惑しか生まなかったスイートルームをあとにし、フロントにカードキーを返しにいくと妙に清々しい気持ちになった。

まあ、色々あったけれど終わりよければすべてよし。美味しいご飯は何事にも勝る。

うんうんと、頷きながらロビーをてくてく歩いていると、王子さんが思いだしたように唐突に言った。

「キーを返す時に聞いたのですが、朝食で食べたクロワッサンは一階の売店でも買えるようですよ」

「そうなんですか!?」

私は耳寄りな情報を聞くと、ぱあっと目を輝かせた。

王子さんってばなんてナイスな情報を仕入れて来るんだろう!!

「買って帰りますか?」

「もちろん!!」

あのクロワッサンがあの古びたアパートでも味わえるなんて嬉しい!!

足取りも軽く乗り込んだ売店にはお土産を求める宿泊客の皆さんが列をなしていた。

「沢山ありますねー」

「そうですね、意外と……」

陳列棚には目的のクロワッサンの他にもホテルが監修しているデザートやベーコンなどの名産品がずらっと並んでいて目移りしてしまった。