(穴があったら入りたい……)

そのままの体勢で駐車場に向かっていると、廊下を歩くスタッフの人達からもゲストハウスの利用者からもヒューヒューと口笛交じりで冷やかされる。

「大人しくしていないと、落としますよ?」

「それは嫌ですっ!!」

地面に落とされてしたたかお尻を打ち付けるよりはましだと覚悟を決め、ひしと王子さんの首に抱き付く。

「最初からそうしていればいいんです」

王子様に耳元で囁かれると、まるで気分はお姫様にでもなったかのよう。

“次はあなたの番ね”

クスクスと笑いながら言ったつぐみ姉の台詞をふと思い出す。

つぐみ姉。

結婚するならもっと優しい王子様が良いです……。

私はいつ落っことされるのか冷や冷やしながら、王子さんにしがみついていたのだった。