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まだまだ残暑の厳しい9月。

私はキッチンすみれの店頭で、パタパタと団扇で顔に涼やかな風を送っていた。

夕方になってもアスファルトは鉄板のようにジュージューと焼けている。

これだけ暑いと外を出歩く人もまばらである。お惣菜たちはとっくの昔にスタンバイOKなのに、お客さんはひとりも来やしない。

「暑いですね……」

「そうねえ……」

暑い暑いと言いながらも、菫さんはアジフライを揚げている。夜になるとサラリーマンがおつまみに揚げ物を買っていくのだ。ビールにアジフライとは、なんて素敵な組み合わせ。

「あ、ひばりちゃんもアジフライ持って帰る?」

「わーい!!いただきます!!」

私も今日はビールにしよう!!

有給を取ってみたもののすっかり暇を持て余してキッチンすみれに立ち寄ったわけだが、思わぬ収穫があった。

厨房とレジを行ったり来たりしている菫さんの忙しない様子を見かね、店番をかってでてよかった。

(アジフライっ!!アジフライっ!!)

労働の後のビールは最高だ。ごくごくと喉を鳴らしながら飲み干す瞬間は、本当に堪らない。

「本当に助かったわ~。ひばりちゃんが手伝ってくれて」

「いえいえー」

アジフライの為ならなんのその。ノープロブレムです。

いつもは仕事帰り、夜の7から8時ぐらいの間に来るから分からないけれど、キッチンすみれは昼間でもなかなか混んでいる。

これを普段はひとりで切り盛りしているといのだから、菫さんは働き者である。