「どんな風に見える? 素っ気なく見える? それとも、鬱陶しいほど愛しそうに見える?」
瞳を妖しく光らせながら、わたしに近づいてきた。
面倒くさいことになってしまった……。
わたしは聞いてしまったことを後悔した。
「いえ、べつに深い意味はなくて……家具やインテリアに絶対服従だし、彼女に対しても尽くすタイプなのかなぁ……って、思っただけです」
彼女らしき存在を“女王様”なんて呼ぶくらいだし。
わたしがたずねた理由を述べると、黒原さんは顎に手を当て、ちょっとだけ考える素振りをみせた。
「女性はいろんな人がいるからね。俺が尽くす場合もあれば、相手に尽くしてもらったほうがいい場合もある。水門ちゃんは……どうかな」
黒い瞳がじっとわたしを見つめてくる。
その視線に耐えられず、うつむいて目を逸らした。
「わ、わたし……?」
「水門ちゃんは……ひざまずかせたいかな」
「ひ、ひざっ……!?」
黒原さんがニヤリと笑う。
そのいたずらな笑みに、背筋がゾクリと寒くなる。
「そう。尽くす尽くさないの問題じゃなくて、ひざまずかせたい」
「えっ……そ、そんな……」
ひ、ひざまずかせたいってどういう意味なんだろう。どうしよう、もしかしてこれから下僕のように扱われるんじゃ……。
不安が胸に押し寄せる。どうしたらいいのかとうろたえていると、黒原さんがフッと噴き出した。
「本気にしちゃった?」
「か、からかったんですか!?」
ヒドイ……!
ちょっと怒り気味に言ったけれど、黒原さんは依然として楽しそうに頬をほころばせたまま。
「ううん、本気」
「なっ……!」
本気!? ひざまずかせるつもりっていうこと? というか……わたしのこと、やっぱりからかってるよね。なんなの、黒原さんって……。
「ふざけないでくださいっ」
ちょっとムッとしてみると、黒原さんが綺麗な顔を崩して、より一層笑った。
「ほら、そういう反応がたまんないんだよ」
な……なんなのこの人!
「もうっ……わたし、オーナーと打ち合わせしてきますから」
黒原さんが持ってくれていった黒いバッグをひったくるように取り、店員にオーナーを呼んでもらう。その間、黒原さんはただおかそうに笑っているだけだった。


