曲がり角を曲がると ――ドンッ 「いてっ」 誰かにぶつかった。 どうやら女の人みたいだ。 「あ、すいません、大丈夫ですか?」 俺とぶつかってしりもちをついている彼女に声をかける。 「……え?」 どこかで見たことのある顔。 真っ黒な髪に妙に気を惹かれた。 「あの……」 俺の声が聞こえなかったのか、彼女は素早く立つと軽く会釈をして去っていった。 一体誰だったのか。思い出せない。