いま私、森本栞乃の目の前にいるのは
同じクラスの霜山伊鶴さん。




「あ、あの...」



薄いピンク色のグロスがのる唇から出てくるためらいの声。



5月の爽やかな風が吹くとスカートと共に揺れるのは光沢を放つ黄金色のニセモノの髪。




女神のような美しさの目をパチクリさせているが、その目は間近で見ると薄いアイメイクをしていることに気づく。





___ついさっきのこと。



お昼の時間になりお弁当を開けたとき




『森本さん』



振り向くと学校のアイドルである霜山さんが......




『ちょっと話があるんだけど』



霜山さんとは会話をしたこがないのに何故?と思いながらも連れ出されたのが中庭の人目が付かないところ。





霜山さんは学校人気ダントツの1位。

男子からも女子からも教師からも人気だ。



誰にでも分け隔てなく優しくてそのうえ頭もいい。



つまり才色兼備!と言いたい所だがひとつだけ問題がある。